2025年のコンビニエンスストア
~限界集落の最期の一人まで寄り添うコンビニ

2016年夏の因島、西日本一周のツーリングに出かけた僕は、夕暮れのコンビニのベンチで語り合うおばあさんたちに出会った。かつてはコンビニの前にたむろしているのは若者というステレオタイプがあったが、地方では若者の姿を見かけるほうが珍しい。
その地域では2016年時点ですでに、日本の2030年予想高齢化率に達していることが分かった。
このことからこの地域を時代の10年先を行く街と位置づけ、旅の途中でこの場面に出会ったことも偶然ではないと考えるに至った。そこからコンビニエンスストアはコミュニティスペースとしての役割を担う必要があるのではないか、という仮説を構築した。
コミュニティスペースを付随させたレンダリングイメージを持ち、コンビニエンスストアのオーナーにインタビューに行った。
そこで分かったことはもはや地方ではコンビニエンスストアを新規開店することが難しい地域が多いということだった。一日の売り上げ目標が達成できないばかりか、開店資金すら用意が難しいという事実だった。
しかし、コンビニエンスストアが集落唯一のお店であることも多く、その地域の生活を支えるインフラとして機能していることもまた一つの現実であった。
そのことから、限界集落で交通手段を失った人々に最期まで寄り添うコンビニエンスストアが必要であると考えた。
デザインやサービスの構成要素を考えるに当たり、物語のデザインを行った。
これにより詳細にどういった機能が必要なのか、なぜ必要なのかを検討することができた。
開店資金や従業員の確保が難しいため、自動決済システムを搭載した無人のワゴンでコンビニを展開する。
既存の物流システムによってワゴンを運搬することでサービスを行う。ワゴンはイベントや都心部の昼時など、需要が一時的に高まる際のサポートとしても活用可能である。
このサービスを運用するに当たり一番の障壁となるのは利益率の悪さ、そしてそれによる地方にはいないステークホルダーの同意が得られないことであると考えた。
企業の社会的価値を高めることで投資を受ける戦略的な広告としてこのサービスを成り立たせる必要があった。
サービスをデザインするにあたり、デザインした物語がその中核を担うことは想像に難くない。

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