SOWM
マルチサイドプラットフォームの複層化による洗濯の社会的分散処理

洗濯機をデザインする過程で、洗浄力を高めることや、処理を高速化することよりも、
服を着て清潔を保ったまま再び着ることを達成するシステムが本当の機能なのではないかと考えた。

リサーチを行い、バイオ的な解決法で衛生状態を保つTシャツなど、同じ問題意識の元で語られる先行事例を発見した。
一方で全く洗濯をしなくても衛生的であるという服の登場が、本来的に我々の生活に受け入れられるかという疑問が浮かんだ。
汚れない服があったとしても、洗濯をしたという記憶が清潔感を認知的に支えているのではないかという仮説を構築し、それに伴って、洗濯を分散して処理することによって洗濯したという記憶と事実を残したまま、洗濯という行為を離れることが可能になると考えた。

洗濯をアウトソーシングするCustomer、洗濯物の運搬を担うCarrier、洗濯ものの保管及びクローゼットの役割を担うConservator、洗濯そのものを担うWasherの4つの役割を分担することによってサービスは構成される。

Customerは、洗濯をアウトソーシングするだけでなく、翌日着る服を選ぶことができ、洗濯機やクローゼットを所有する必要がない。
Carrierは、自転車やモーターサイクル、車など、好きな乗り物で荷物を運搬することによって収益を得る。
Conservatorは場所を貸すことにより収益を得る。
Washerは洗濯を行うことによって収益を得る。

このサービスの根幹的問題は洗濯もののプライバシーにある。
洗濯もののプライバシーを確保することを目指した結果、全く同じ鞄を使い、中身を開封されることなく運搬され、役割を担う人々が現実では一度も顔を合わせずにサービスを運用する必要性が発生した。

このサービスをデザインし映像化することで、全く人と顔を合わせないそれぞれのライフスタイルが既に確立していること、及びそれぞれの幸福や生活の価値感について考えるに至った。
各々がスマートフォンに目を落とし、それぞれの思う幸福な生活をする様はスマートフォンに人間が操作されているようにも思えた。そこでスマートフォンの発する微細な鼓動をエレキギターのピックアップで集音し、循環する4音のピアノをループさせることでその様を示した楽曲を制作しBGMとした。

 洗濯に限らず、ゴミ処理や郵送物など、多様な生活のインフラについて同様の問題の存在が考えられる。都市型の生活において、今後必要とされるのはこのサービスの中ではCarrierにあたる、匿名性を担保したまま物質を扱うことができ、それぞれのクローズドなライフスタイルを繋ぐ媒介であるのではないだろうか。
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